ドラフトルール改訂がアンチタンキングに効果がないと考える理由
この文章を読む人に向けてまず自分の意見を明らかにしておくとかなり否定的だ。ポジティブな話が好きな人は読まないほうがいいと思う。
新しいドラフトルールについて
The NBA’s new draft lottery odds, visualized ⬇️ https://t.co/bUdgWPReF9 pic.twitter.com/IizHm5nL3M
— Lev Akabas (@LevAkabas)
May 28, 2026
21-27位が最大の確率をもらい、28-30位のいわゆる最弱チームはそれよりも確率が低く、なんとプレーイン圏内のチームと同じ確率になっている。
タンキング
このルールが導入される背景を理解するためには、タンキングについて理解する必要がある。
-
these teams would tank in order to secure top draft picks
-
“tanking” in the NBA is when a franchise does less than everything it can to win.
噛み砕くと、わざと負けてドラフトで高順位を引こうとする戦略である。
ここではタンキングの性質を以下の2つによって捉える。
タンキングの性質:- 最も高いインセンティブを受け取ること
- わざと負けに行くこと
このタンキングを防止するための新ルールというわけだ。
The new ‘3-2-1 Lottery’ is designed to eliminate incentives for teams to prioritize Draft position over winning.
— NBA Board of Governors approves new Draft Lottery system to address tanking
タンキングの動機
タンキングは当然ながらわざと負けに行くので、競争率が下がり、ファン離れが凄まじい。NBAはこれを長年懸念している。
NBAはおそらくタンキングの発生メカニズムが下位チームへのインセンティブにあると捉えているようだ。 一方でタンキングの目的は、「1. 最も高いインセンティブを受け取ること」であることは忘れてはいけない事実だ。
タンキングを行えるチーム/行えないチーム
タンキングは、「2. わざと負けに行くこと」なので、 本来の実力による順位を、 自力で達成可能な順位をとそれぞれ定義する。 簡単のために強いチームは弱いチームにいつでも勝つことができると仮定すると、
が成り立つ。
噛み砕けば、実際の実力より低い順位はすべて達成可能である。
新ルールが何も解決していないと考える理由
30チームが30位を目指したタンキングが可能
新ルール後:27チームが27位を目指したタンキングが可能
変わったこと:下位3チームはタンキングが不可能
むしろ後に説明するように、タンク戦略を取るチームが増えるかもしれない。
戦力強化のためのドラフト
In an NBA franchise’s toolbox, teambuilding via the annual draft is an extremely important, if not the most important tool. For small-market, poor-preforming teams, draft picks are their best chance to secure a franchise superstar.
— From Soft Caps to Hard Lines: How the NBA’s Latest CBA Reshapes Spending and Teambuilding Strategy
ドラフトは田舎弱小チームにとって、現実的にスーパースターを獲得する可能性が、最も高い方法と言っても過言ではない。
27-30位は多くの場合には田舎弱小チームになりそうだ。
今回のドラフトルール改訂が施工されれば、 田舎弱小チームは、他の27チームより、このチャンスを得る確率が低くなってしまう。
そうなったときにどのようにして再浮上すれば良いのであろうか。
今後の戦略
ここで語るのはあくまでタンキングの文脈であるためタンクをしないという場合には全く当てはまらない。
最下位争いチーム(27-30位)
基本的には、27-30位を抜け出すために上位チームよりも良いドラフトをする必要があるが、その確率は低い。
取れる戦略はおそらく以下の3つ。
- 5.4%のチャンスを掴むのを焦らずに待つ
- 現在のアセットを売って、来シーズン以降26位以上を目指す
- 将来のアセットを売って、今シーズン26位以上を目指す
3は売り先にいくつかのオプションがある
3-1. 同じ順位帯にアセットを売る場合には、26位に到達する期待値が低い
3-2. 中位帯にアセットを売る場合には、売り先が27位に転落するリスクを生むため、かなりのアセット消費が必要
3-3. 上位帯はタンク競争に巻き込まれないため、ここのサラリーダンプに付き合いつつ高い選手で26位を目指すのが本筋か?
旧中途半端なチーム(21-26位)
上位チームのタンキングに負けないように、タンクする必要がある 一方で、下位チームが3の戦略を取った場合には下から突き上げられる
戦略は
- 基本的に上位チームに負けずに自身の位置をキープ
- 安易に下位チームを強化しない
プレーオフぎりぎりチーム(10-20位)
タンキング圏内が広がり、幅広い戦略が取れる
むしろ、ドラフト1位を(現実的に)引ける順位帯が広がったことにより、このレベルではタンクが横行するであろう。
戦略は
- 途中まで戦い、無理そうであれば急速にタンクに切り替える(またはWin Nowに入る)
例えば、アンチタンキングのリーグにとって最悪のシナリオが考えられる。
- TDLでカンファレンス5位前後のチームが強化を逃す
- PO1stでの負けよりも5.4%のチャンスを好みタンク開始
- プレーインまで落下
- プレーインで主力の怪我()により、5.4%のチャンスを手にする
まとめ
- 上-中位ではタンキングが増えるかもしれない
- 最下位チームは、厳しい状況に置かれる
果たして、
- 弱い数チームが中々1位が引けずに、FAも来ず10年単位で再下位帯にいる(なおタンク行為自体は他である)
- 弱い数チームが3-5年タンクして1位を引いて浮上する
どちらがファン離れがひどいのであろうか。
NBAには今一度考え直してほしい